茨姫
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イバラをかきわけ唇を奪って姫を攫えば
それこそ背徳的なお伽話。






金糸の髪 紅い瞳 白陶器の肌
条件は全て完璧で、足してみればやっぱり美しい
そうあの姫君。幼い頃自ら思い描いたあの姫君だ。
まずは手の甲に落とすべきだったキスを
もうどうしようにも我慢できなくて
物欲的な俺は王子にはなれない。
手を伸ばして白い頬に触れた瞬間だけは其の美しさに目眩がして何も考えれなかったけれど
さしずめ白雪姫を殺せと命じられた狩人の顔をしてたのだろう。
美しい姫は、その長い睫毛を一度だけ震わせると
凛とした落ち着いた声で言った。
「何をしてもいいけど、」
その高潔な気迫は
一瞬にして姫を茨の向こうに閉ざした。

お前が眠っていれば良かった。
お前の知っている英利じゃなければ
俺を可愛がることもしなかっただろ
何も知らなければ、俺はその茨をかきわけて
堂々とお前の目の前に王子としてふるまえたかもしれないのに。

「お前が悲しまなければ、何をしてもいい。」
理解など。
俺を理解などしないでくれ。実はお前の思ってる程気弱で優しくもない。
そうでなくても俺はお前を裏切れない。

せめて一度だけ、と触れただけの口付けに
あの背徳的なお伽話を透明にして被せても、到底美学にはならない。















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君が好きだ!好きだ!好きだ!




















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