キャンディライフ
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ぺりぺりぺり

口に入れた飴の包み紙を伸ばして、何事もないけれどなんとなく成分とか書かれた表記を読んでいた。アメリカ製。着色料等々。ストロベリー味のそれは私の知る限りで一番甘い飴。
多分一番赤い飴。

「あ、いいな。」

もう一個ないのと、ハタチの慧靂はたかが飴を素直に羨んだ。
飴の前に髪、ちゃんと拭きなさい。服ちゃんと着なさい。
褐色の完璧に鍛え上げられた体から蒸気が立つ。
「なーい。」
「ちえ。腹減ったな。」
合皮ソファが慧靂の重みでぐっと沈んだ。少し浮いた腰をそのまま持ち上げて、口内からはみ出た飴の棒を取って慧靂の閉じていた唇に押しつけた。
べとつく感触に眉を寄せた慧靂が目でなに、と言う。
そのまま慧靂の口から舌がにゅっと出て奪われた。私の飴なのに。
「おんなじ色だなって」
私の知る限りで一番あまいあめ。
真っ赤な飴。棒のはしっこを持ってそっと引っ張ると抵抗なく口から漏れた。
どっちのだかわからないだ液に濡れた甘い飴。
なにが、と聞かれる前にそれを目の前に突き出す。目の前に。
「慧靂色。」
真っ赤なあなたの目と同じ。
「ニクス色じゃなくて?」
「ニクスさんはね、なんていうかなーもっと深いの。慧靂はこの色、ね、ぴかぴか光っておもちゃみたい。」
「俺はやらしくみえるけど…。」
「え・れ・き。」
文句を言おうと開いた口がぐっと飲まれる。お腹空いたからって私の口と飴一緒に食べなくたって。べえっと離れた舌が、ニクスさんの目よりもっと暗い赤で、安物っぽい飴の色素がそこについて一緒にてらてらと光った。
「キスするか、飴舐めるかどっちかにして。」
「じゃあキス。その飴、甘過ぎない?」
「そうかな?」
宣告どおり一回キスをした。
「俺は彩葉の髪見てると、べっこう飴思い出すよ。」
「そこまで明るくないとおもうんだけど。」
「どっこい、兄貴は料理がめちゃくちゃ下手だったんだ。いつも焦してた。」
まあ。くすくす笑うと、慧靂の目がゆっくり細められた。
本気キスがくるんだと唇が触れる1秒前に気付いて、目を閉じるのを忘れた。

ちゅう。

「甘い。」
「うん。」
「…腹減った。」
「何かつくろうか。」
「べっこう飴って作れる?」

あたしは焦さないわよ。











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